最近のヒグマ
札幌市「ヒグマ出没情報」調べ。
2019年12月現在。
近年、ヒグマが山間の住宅街に頻繁に現れています
2019年8月、札幌市の住宅地でヒグマが殺処分されメディアを騒がせました。人里への接近は様々なトラブルの原因となっています。
そもそもヒグマは
どれくらいいるの?
ヒグマの生息数
北海道の資料より、地域個体群別2012年度平均値。実際は大きい誤差があります。
自然豊かな北海道、ほぼ全域にヒグマがいます
市街地などの空白域で5つの地域個体群にわけて保護管理しています。
天塩・増毛、積丹・恵庭地域は、環境省のレッドリストで「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」に選定されています。
推定生息数の推移
北海道の資料より。平均値。
実際は誤差があります。
生息数は増加していると考えられていますが、ヒグマは警戒心の高い生き物。
正確な数を知ることは難しいんです
人を警戒し、
距離を保つ個体がいる一方
ヒグマによる被害
全道の捕獲数と農作物被害額の推移
北海道調べ。
捕獲数は狩猟、許可捕獲含めた合計。
札幌市のヒグマのフン内容物
札幌市豊平川源流部を中心に行った奥山地域広域痕跡調査の一部から。2011年の調査より。
10月以降、農作物目当てのヒグマ増加が捕獲数増加の原因の一つに
札幌市の街に現れるクマの糞には夏から秋にかけて農作物が含まれています。容易に入手でき栄養価の高い食べ物に依存するヒグマがいることを示しています。
人身被害発生時の被害者の活動
狩猟者を除く。北海道調べ。1989~2015年度の合計。
15年度は2月末現在
山菜採り及びキノコ採りが約3人に2人の割合と最も多い
札幌市も2001年春、南区でヒグマによる死亡事故が発生。
しかし、人を意図的に襲うヒグマはごく一部。人身被害で最も多いのは、ヒグマの捕獲に従事し逆襲されるなど、狩猟者です。
特殊な問題行動をとるヒグマ
- 農作物やごみの味を覚え、執着する
- 人への攻撃性を持つ
- 頻繁に畑や民家に近づく
問題個体(問題グマ)
と呼びます。
山の実りの不作?
凶作 | 並作 | 豊作 | |
---|---|---|---|
ミズナラ | |||
ブナ |
10月以降の捕獲数は、ドングリ類の豊凶が関係しているという研究も。
「ヒグマとのあつれきを避けるために」(道総研環境科学研究センター・林業試験場2012.3)より
農地の放棄
鋭い嗅覚を持っているため、放置された廃棄農作物・放棄果樹は、クマを人里へ誘引してしまいます。
地理的要因
市街地とヒグマの生息する森林とが直接つながっている地域では、出没が多くなったり、偶然市街地に侵入してしまいます。
人の近くに定住してしまう
- 生きたまま捕獲は?
- クマに麻酔が効くには時間がかかります。捕まえる作業をする人や住民などにも危険が及ぶ可能性もあります。
- 森に返してはダメ?
- 学習能力の高いヒグマは、一度味を覚えると再び戻ってくる可能性が高いです。
共生を目指すには
まず人里に
近づけないことが大切
お互いを守るために
電気柵の設置
電気柵を設置することで、ヒグマに近づくと危ないと警告
札幌市では、ヒグマを市街地に侵入させないための取組みの一つとして、1世帯につき1シーズンに限り、家庭菜園向けの電気柵の貸出を行っています。
草刈り
市街地と森林の間に「緩衝帯」を確保することが重要です
ヒグマには見通しのいい場所を避け、藪などで身を隠しながら行動する特性があります。
生ごみの処理
ごみをポイ捨てしない。頑丈なゴミ箱など設置することは大切。
最後に
私たちの生活変化も
ヒグマに影響している
今回のデータは一部ですが、ヒグマとの共存ため研究団体、自治体が日々活動されています。
ヒグマと共に暮らしている私たちも生態への理解は大切です。この機会に一人一人ヒグマとの付き合い方を考えみてはいかがでしょうか。